息子が引き継ぐ、亡き夫のゴルフクラブ
亡き夫のゴルフクラブを手に取って家の片隅に眠っていた、主人のゴルフクラブ。
ふと思い立ち、拭き掃除をして手に取ってみました。
20年以上前、私の父が贈ってくれたゴルフクラブです。もう使い込まれて、キズも目立ちます。
そんなある日、社会人になったばかりの息子がポツリと聞いてきました。
「パパのゴルフクラブって、あったっけ?職場の人と行くかも。」
私は驚きつつも、心があたたかくなりました。
「パパのから始めるよ」
息子はこう続けました。
「まだ続けるかもわからないし、最初はパパのを使ってみるね。」
新品を買うのではなく、主人が大切にしていたものから始めたいという気持ちが伝わってきて…
思わず胸がいっぱいになりました。
ゴルフは、主人がつないだご縁
実は、私も主人のご縁でプロゴルファーを紹介していただき、約3年間ゴルフを続けていました。
今ではすっかりご無沙汰で、私のクラブはクローゼットの中で眠っています(笑)
そんな私のクラブではなく、息子が手に取ったのは、亡きパパのクラブ。
息子がまだ中学生の頃、主人は旅立ちました。
月日の流れと、大人になった息子
あれから…
息子は今、立派な社会人になりました。
主人の背中を見て育ったわけではないけれど、どこかで感じ取っていた「父の存在」。
クラブを手に取った姿に、あの日の涙がこみ上げてきます。
「おとなになったな…」
声に出さずに、心の中でそっとつぶやきました。
おわりに
道具を通じて、想いは引き継がれるものですね。
壊れてしまっても、古くなっても、大切な人の記憶がしっかり宿っている。
「今」を生きる息子が、亡き主人のゴルフクラブと歩き出す。
それは、目に見えないバトンが手渡された瞬間だったのかもしれません。
コメント